シャクリに嵌った一年、締めは久里浜沖のハナダイ

12月30日(金)、久里浜港の五郎丸からハナダイに行ってきた。
実は前回の釣行後、かみさんが急病で入院を余儀なくされてしまい、年末になっての緊急事態。見込みは一週間程度とのことで、その間、病院に通うのはともかく、飯の仕度やら洗濯やらもこなさなければならず、かと言って会社に行かない訳にも行かず、ああなると釣りのことなど考える余裕も無くなり行きたいとも思わないものである。こういうことがあると、日頃、当たり前のように釣行しているのも家族の健康や生活の基本的な部分の上に成り立っていることを改めて思い知らされる。おかげさまで回復も順調に27日には退院できたので、釣り納めには行けそうかな?・・・ってことで、今年の締めと言ったらアレしか思い浮かばず、早速、Iさんと釣行のご相談。船長との連絡によると29日は混雑しそうとの話で30日の釣行となった。思い起こせばこの2011年、世の中的にも個人的にも色々な事があったが、こと釣りに関してはコマセシャクリに一際ハマった一年であった。初釣りの釣れないイシダイシャクリに始まり、春は深場の五目釣り、夏は恒例のイサキ釣り、秋からはついに禁断のハナダイ釣りに足を突っ込んでしまってさぁ大変。釣りとは釣れるから面白いにあらず。簡単に釣れないからこそハマるディープな世界。おかげで竿は増えるわ、リールも欲しくなるわで釣具屋さんも大喜び!?コマセシャクリはどれも食味の面で美味しい釣りばかりだが、やはり釣技の面からは王道ハナダイ釣りを外しては語れないというのが実際やってみての感想。それだけ奥が深く、腕次第で雲泥の差が付く釣りだとやりながらホントにそう思わされる。さて、今年最後の釣りもいつもの電車でIさんと合流し現場へ向かった。6時30分を少し回る頃、港に到着すると、みなさん乗船済みのところ、第五勇丸の右舷ミヨシ1、2番を空けておいてくださり、毎度、船長に感謝感謝!舳からIさん、私の順に入り、本船は右舷6名、左舷5名の11名、別船五郎丸も片舷5名ほどの乗客と見え2隻とも満船。準備も整い6時50分に離岸すると港の外で協定時刻まで待機、7時の時報と同時に全船エンジンの回転数を上げ一斉に場所を目指す。マダイ船とハナダイ船は目下漁場はほぼ同じ、面舵方向に下った水深55〜60m立ち。航程僅か5分ほどでスローダウン、船首を返して位置取りが一発で決まると7時7分スタート。この船の止め方はいい反応出ているに違い無い。


マダイ船、ハナダイ船、一斉に面舵方向に回転数を上げ、目指すは久里浜沖水深55〜60m。

対岸鋸山から昇る朝焼けに向かって第1投。北の風けっこう強く、ダボダボと風波はあるが釣りに支障は無し。水深58mで着底、水色は澄んでバケツの水がやたら暖かい。食いダナは7mでシャクリダナはいつもと同じ3〜10mの指示。2、3回空振りで回収すると右隣のお客さんに船中初かな?レギュラーサイズのハナダイが上がる。中潮の最終日で満潮が8時半頃、干潮が14時半頃の予報。現在、上げ残りの潮がトロトロあってミヨシ席有利の状況。こりゃ序盤戦勝負かな?開始10分ほど経過したところで本日初のアタリ、上手いことアワセが決まって難無く24cm級の初物。元から2番目のK−Aは今日も有効。ヨッシャ!前日が2隻で0〜7枚、0〜8枚と苦戦、ウィリーへの反応が悪かったそうだが、今日はモーニングサービスが期待できそうかな?程無くIさんにもヒットでこれがナント一荷。いいね〜!その後、ポッツンポッツンとアタリが出てくれて、序盤戦はいつものバラシ病は鳴りをひそめ、比較的高確率で針掛かり。なるほど・・・と言うのも、今日はバラシ病対策として@ワンランク硬い竿(リーディングXA82−190)、Aより巻き上げ力のある1000番のリールにPE4号、B伸びの少ない硬めのクッション、C強度に安心感のある伊勢尼5号にハリス2.5号の太仕掛け、Dその分、シャクリはややソフトめに意識して調整する作戦。この竿とリールの組み合わせは自身の深場のタチウオ道具だが、この水深で80号ビシだとコレの方がシャクリ易いしアワセも効き易いのはやってて歴然。以前、トコヤさんのアドバイスにもあったけど、やっぱ正解はコレかぁ?ウィリーシャクリという釣りのイメージで一括りにしちゃうといわゆるライトタックルから入りたくなるが、結局、ことハナダイに関しては相応のヘビータックルが必要。ある程度の掛かり損ないやバラシは防げないものの、針掛かりしたら速めに電動で巻き上げてしまい、バレる魚はバレる、バレない魚はバレない。この思い切りと割り切りが大事なのかも!?実際、釣れたハナダイの半分は口から内臓がベロ〜。アワセが決まれば上唇かカンヌキを貫通、ここに掛かればハリスが切れない限り振り回しても絶対外れない。ここに来てようやく当地のハナダイ釣りが少し分かってきたような気がする序盤戦であった。で、1時間で6枚を確保し、本日の目標5枚(お正月の家族の塩焼き分+お刺身分少々)はクリア。


お隣は別船五郎丸、左舷大ドモにはK名人。今日は魚が本船の下に着いているのか別船は調子上がらない様子。

船は止めの操船で流し釣りではないが、水深は常に1、2m上下しながら微妙に位置がズレ、隣の船と接近したり離れたり。その間、ハナダイの群れが出たり入ったりするのか、アタリが続いたり途切れたりの繰り返し。時合いが短く比較的はっきりしていて、良い時には1回掛け損なってもすぐに落として2回目のシャクリで掛け直しが利いたり、1枚上げたら速攻で再投入すると連荘でアタリが出たり、これがここ久里浜沖の傾向と思われる。掛けた瞬間、ゴツゴツと首を振らずにいきなり強く伸すのは殆どがスレ掛かりで、半分以上は巻き上げ中に外れてしまうが、仕掛けをチェックすると針にウロコが着いていることも多く、これはシャクリが強過ぎの証拠。下船後、名人にも教えられたが、バレが多いのはちゃんと口に掛かっていないから。先にも書いたように上唇かカンヌキに貫通していれば振り回したって外れない。兎にも角にもシャクリの幅と速さ、コレに尽きるとのアドバイス。水深、潮流、ビシの重さ(船中で統一されるので)などの環境要因+竿の調子、道糸の太さ、仕掛けなど各人固有の条件があるため、一概にこれが正解と断定できるものでもなく、それぞれにベストなシャクリバランスが存在すると考えるのが妥当。逆に言うと、名人に釣り方を聞いたからすぐに釣れるってものでも無く、色々なことを参考にしながら常に原理や根拠を考え、実践での経験を通じて自分なりのメソッドを確立していく。たぶん、こんな試行錯誤の繰り返しなのだろう。そんなこと何もこの釣りに限った話ではないが、ことテクニカル系の釣りに関してはそういう側面が大きく、だからこそ面白いしハマるのだと思う。さて、開始1時間を過ぎた辺りから間が空き始め、そろそろ潮が変わってトモの潮か?との心配を他所に潮は未だ上げ潮、思い出したようにポツポツ食ったり食わなかったりで、9時10分、ツ抜け達成。続いて11枚目を取り込んだ。朝イチは7mから高いタナでは10mより上でも何発か当てたが、この時間、7m前後に決まってきて、水深57mでちょうど道糸の色の変わり目付近でアタリが出ることが多い。私の右隣の常連さんは相当上手でまったくペース追い付けず異次元。このお客さん、シャクリがまた違っていて、仕掛けの動きからして謎。一方のIさん、今日は新調の竿でバランス崩したかな?尽くバラシの連続で調子上がらず。ホント、ちょっとしたニュアンスの違いですよね。


お隣Iさん、新調の竿はナント!?ちょっとした経緯があったのですが、もしやバランス崩したかな・・・?

相変わらず北風が強く、体感で10m超。今日は止みそうに無いね〜。潮もいよいよ止まってしまってアタリが遠くなる。何となく上と下で潮が噛み合わないようでオマツリも多く。ついに修行モードですね・・・と言いつつ、そんな中、マジメにシャクってると急にアタリが出て不意を衝かれるが、殆どが掛かり損ないか巻き始めでサヨナラ。潮が下げに入ってトモ寄りで盛り上がる訳でも無く、明らかに食い自体が落ちているが、こういう時の対処法はあるのかな?残念ながら経験が浅く引き出しを持ち合わせていない。11時10分、急なアタリに上手く体が反応して2時間振りの1枚、続けてもう1枚ヒットで13枚。ホント、急にアタリ出すから油断できないもんね。その後、いつものバラシ病の再発なのか、アタリだけは回数出すのだが、如何せん10m巻く間に決まって居なくなる。何かが合っていないことは自分でも分かるのだが、原因が分からずその場で修正できない。下手にタイミング変えたりすると今度はアタリすら出なくなるからどうしようもない。結局、腕の差ってこういうとこなんだよね。そうこう悩みつつも12時を回る頃から俄かに活性が上がり始めたのか?右隣の常連さんはほぼ入れ掛かりモードに突入し、横で見ていて少々焦るが、う〜ん、技術的な問題なのか釣り座の問題なのかすぐに解明できず、とにかく魚は居るので自分でできる釣りをするしかない。お隣さんと道具の入れ替え周期をわざとズラすと、合間を縫ってたまにこちらにもアタリが回って来なくもない。なんだかな〜、でもアタリが出るだけまだいい。この時間、Iさんもたまに当てるが、ホント、今日は半分以上逃げられてますね。道具とシャクリのちょっとしたバランスでこうなっちゃうんだから微妙としか言いようが無い・・・が、これを修正できるのも本人のみ。魚は居れども少々ジリジリした時間ではあったが、13時に近付く頃にはすっかり落ち着いてしまい、結局、私は4枚追加の17枚。その後、少し延長の14時10分までやってくださったが活性上がらず、不意のアタリはあるものの、殆どがスレ掛かりのバラシに終わり、追加無しのまま終了。毎度、課題だらけの釣行だが、食材的には十二分、一時は年内の釣行も危ぶまれたところ、良い釣り納めができてホントにありがとうございました。下船後、暖かい豚汁をご馳走になり、Iさんと一緒に帰路に着いた。今年もお世話になった多くの方々に感謝である。


本日の釣果、ハナダイ 17枚(23.5〜27.5cm)、外道は無し。

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